SEC、トークン化株式に5年免除。証券株の競争変化
米SECは9月17日、トークン化された米国上場株を扱う取引基盤と流動性供給者に、5年間の条件付き免除を与えました。既存株と同じ配当・議決権、発行企業への通知と異議申立て機会などを条件とし、2031年9月17日まで有効です。暗号資産、証券、取引所関連株と日本市場への波及を整理します。
一次情報
米証券取引委員会(SEC)・Reuters照合の公式発表を確認する ↗
発表日時:2026年9月17日(米国時間)
SEC・条件付き免除命令(File No. 4-927)を確認する ↗
発表日時:2026年9月17日(米国時間)
Reuters・トークン化株式の5年間免除を確認する ↗
発表日時:2026年9月17日 13:02(UTC)/22:02(日本時間)
主な対象
- Robinhood・Coinbaseなど暗号資産取引基盤
- Morgan Stanley・Charles Schwabなど証券会社
- Nasdaq・ICEなど取引所運営会社
- 決済・カストディ・ブロックチェーン関連
- SBI・マネックスなど国内ネット証券
- 野村・大和など国内証券
- 日米の金融システム関連
日本株・米国株への影響
日本株:米国でトークン化株式の取引基盤が広がれば、SBIやマネックスなど暗号資産事業を持つネット証券、野村・大和など大手証券、決済・カストディ・金融システム企業に提携や技術投資の機会が生じ得ます。一方、米国の24時間取引や低コスト化が進めば、国内証券にも手数料、取引時間、システム投資を巡る競争圧力がかかります。今回の免除は米国制度であり、日本で同じサービスを展開できるとは限りません。
米国株:RobinhoodやCoinbaseなど新規参入を目指す企業には、トークン化された米国株を扱うための制度上の道筋が開けます。決済・カストディ・ブロックチェーン企業にも需要拡大の余地があります。一方、Morgan Stanley傘下のE*TradeやCharles Schwabなど既存証券には、取引時間、手数料、顧客資産管理を巡る競争が強まる可能性があります。NasdaqやICEなど取引所運営会社には、既存市場との連携機会と取引流動性の分散リスクが併存します。
上昇要因になり得る経路
- SECはトークン化証券取引基盤を取引所の定義から、一定の流動性供給者をディーラーの定義から、2031年9月17日まで条件付きで免除した
- 対象のトークン化株式には、同等クラスの既存株と同じ権利・特典を保有者へ付与することが求められる
- スマートコントラクトの監査可能性、公開性、公開型ブロックチェーンへの展開など、透明性と投資家保護の条件が設けられた
下落要因になり得る経路
- 取扱銘柄数と売買量には上限があり、制度開始直後から既存取引所と同規模の市場になるわけではない
- 第三者が株式をトークン化する場合は発行企業への書面通知と異議申立て機会が必要で、企業が反対すれば取扱対象を広げにくい
- 取引の分散が進む場合、既存証券・取引所には手数料競争とシステム投資負担が生じ、流動性が市場間で分散する可能性がある
読み違えを避ける注意点
- 今回の措置は5年間の一時的かつ条件付きの免除で、トークン化株式全般の無条件な規制緩和ではない
- SECは公益と投資家保護のため必要と判断すれば、期間や条件を変更できる
- 制度整備は取引基盤の稼働、十分な流動性、発行企業の参加、関連企業の収益化を保証しない
- 対象は米国のNMS株式で、日本での取扱いには金融商品取引法、暗号資産規制、税務、取引所・清算制度の別途確認が必要
- 個別株の短期的な上昇を、将来の利益成長や市場シェア獲得の確定材料とみなさない
確認したい用語
本記事は公表資料を読み解くための情報提供であり、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。